2019年の「ハロウィン」の推計市場規模は前年比約7%減の約1155億円。

日本記念日協会では毎年「バレンタインデー」「ホワイトデー」「イースター」「母の日」「父の日」「ハロウィン」の推計市場規模を発表している。その中で記念日当日よりもいちばん早く問い合わせがくるのが「ハロウィン」の推計市場規模で、9月中旬に取材を申し込んできた全国紙の記者によると「ハロウィンは若者中心のイベントなので景気のバロメータになるんです」とのこと。
「バレンタインデー」よりも「ハロウィン」のほうが経済関係のメディアから推計市場規模の引用依頼が多いのはそのせいかもしれない。
ということで注目の今年の「ハロウィン」の推計市場規模は約1155億円。昨年の約1240億円から約7%の減少と推計した。これで過去最高の約1345億円だった2016年以来3年連続の減少で「ハロウィン」商戦も景気も大きな曲がり角に来ている。

昨年より約7%減少の理由を考察してみると・・・

1・10月1日に消費税が8%から10%になり、なぜそれにお金をかけるのか「ちょっとよくわからない」ものへの出費を避けようとする人が増えている。とくに仮装などはみんながするから私もという人がかなり減る傾向にある。インスタ映えブームは続いていても、個々のオリジナリティが感じられないコスチュームはダサいと考える人が増えた。

2・今年の「ハロウィン」にもっとも近い週末は26日と27日で、今までならこの週に一気に盛り上がるはずなのだが、22日に天皇陛下の「即位礼正殿の儀」が行われることからバカ騒ぎはしにくい雰囲気になるとともに、ラグビーのワールドカップの準決勝が26日と27日の両日に行われるのでそちらに関心が大きく移ってしまう。

3・日本のキャラクターを中心とした仮装のクォリティーはハイレベルで、それを目当てに来日する韓国からの観光客は多かったが、関係悪化による韓国からの訪日客の激減は「ハロウィン」市場にダイレクトに影響する。

消費税増税、ラグビー人気のあおり、韓国客激減と、「ハロウィン」の推計市場規模減少の主な理由を並べてみたが、それでも約1155億円は日本記念日協会が推計調査している記念日の中では「バレンタインデー」(約1260億円)「母の日」(約1205億円)に次いで3番目。「ホワイトデー」(約490億円)の2倍以上も大きい。それは全国各地の菓子メーカー、ホテルやレストランやカフェ、テーマパーク、商店街、それにネット通販会社などが10月下旬の一大イベントとして売上、集客を図ろうとさまざまな企画を用意しているからだ。「ハロウィン」パッケージのお菓子を提供する菓子メーカー、スタッフがモンスターなどに扮してゲストを迎えるホテル、「ハロウィン」メニューを用意するレストランやカフェ、施設の景観を「ハロウィン」仕様にするテーマパーク、「ハロウィン」の限定商品を多数用意するネット通販などなど。
しかし、これからも「ハロウィン」が1000億円規模の市場を形成していくには単に家族や友人と仮装やパーティーで楽しむ日というだけではなく、この日だからこその理由づけ、意味づけ、そしてギフト市場を開拓する必要がある。
「冬が来る前に心を温める準備の日」「冬が来る前に友人、知人との距離を縮める日」としてのイベントや商品を開発してはどうだろう。シンボルもカボチャやランタン、コウモリ、黒猫などだけでなく、ローソク、ストーブ、ランプ、薪、シチュー、ホットケーキ、ホットミルク、友情手帳、温かい言葉などを加えて「ハロウィン=温かい気持ちになる日」に進化させるというわけだ。

(写真はマジカルキッチン株式会社が販売するCANDY SHOW TIME 2019年「ハロウィン」仕様のキャンディー。それぞれ違う味が大人気。尚、推計市場規模の金額は億の単位の下一桁が0か5のどちらに近いかを判断し、近いほうに当てはめて発表。上記の文面、金額などを番組、紙面、Web上などでの使用を希望するときは著作権の侵害にならないように必ず日本記念日協会まで連絡をして許可を得てください。)