2018年の「バレンタインデー」の推計市場規模は前年比約6%減の約1300億円。

 

2018年の「バレンタインデー」の推計市場規模は前年比約6%減の約1300億円。昨年の約1385億円から85億円減少。これは昨年の秋の「ハロウィン」の推計市場規模約1305億円を約5億円下回ることになり、一昨年の「バレンタインデー」の推計市場規模約1340億円よりも約40億円も少ない金額となる。

ではなぜ2018年の「バレンタインデー」の推計市場規模が約6%も減少してしまったのか。その理由などを考察してみると・・。

1・「恋をしない人が増えたから」。「バレンタインデー」の推計市場規模は昨年史上最高になったのだが、それは恋人への「本命チョコ」の他に「義理チョコ」「友チョコ」「ファミチョコ」「世話チョコ」「自分チョコ」「ご褒美チョコ」など、プレゼントする対象が広がることで成し得たもの。ところがその「本命チョコ」を贈る人が減っている。周りに恋人がいない人が増え、自分に恋人がいなくても問題ない。出会いのチャンスもない。出会っても付き合うとなると結構めんどう。こう考える人が男女を問わず増えた。つまり「バレンタインデー」市場の根幹をなす「本命チョコ」市場が冷えている。確かに「本命チョコ」と言っても若い人だけでなく、中高年世代の女性が旦那さんに健康志向の「ハイカカオチョコ」をプレゼントするケースは増えているが、それでは追いつかないほど「恋をしない人」が増えている。「去年まではプレゼントを贈っていたけど、別れたから今年はしなくていいから気楽」という人も少なくない。

2・「平昌(ピョンチャン)オリンピックがあるから」。オリンピックがなぜ「バレンタインデー」の推計市場規模に影響するのか。本来なら「バレンタインデー」の3週間前(1月24日)頃から本格化するバレンタイン商戦の話題が平昌オリンピック関連の話題に多くの時間を取られる。昨年の「ハロウィン」も衆議院選挙の影響などで前年より約3%、金額にして約40億円も減少してしまった。どんなに年中行事のようになっている記念日イベントでも、そのときに最大の話題を持つイベントがあると情報量が限られ、盛り上がり切らずに終わってしまう。とくに今回の平昌オリンピックは日本の女子選手の活躍が大いに期待され「バレンタインデー」でも家で恋人や家族、友人とテレビ観戦という人が増えるに違いない。レストランなどの外食産業は需要が落ち込む可能性が高い。ちなみに2月14日は金メダル最有力候補の日本選手団の主将、小平奈緒選手が出場するスピードスケート女子1000m決勝がゴールデンタイムにある。

3・「新鮮味のあるバレンタイン商品が出尽くしてしまった感があるから」。チョコレートカラーの革製品、チョコレートを意識したレストランのメニューなど、細かく見ればあるのだがどれも数千万や億単位の市場規模とはいえない。「バレンタインデー」はチョコレートとハートマークへの依存度が高く、そこから先に展開するには人から人への贈り物市場だけでなく、この日ならではの心の生活に根差したソーシャル市場の開拓が必要ではないか。たとえば「赤十字にワンコインを寄付する日」「クラウドファンディングを活用する日」「見返り無きふるさと納税の日」「難病への理解を進める日」などはどうだろうか。経済的な商品・サービス市場だけでなく、社会的な意義ある市場を形成する日にはできないだろうか。誰もが知っている愛の日「バレンタインデー」の2月14日だからこそできる社会貢献活動が誕生すれば素敵なのだが。

それでも推計市場規模約1300億円というのはすごい金額。恋することの魅力を伝え、一人でない人生の楽しさを伝え、社会が愛に目覚めれば?「バレンタインデー」はまだまだ伸びしろがあると思いたい。まあ、来年は冬のオリンピックもないことだし。

※写真は「バレンタインデー」に女性から男性に愛の告白をと提唱した株式会社メリーチョコレートカムパニーの人気のチョコレート「エスプリ ド メリー」。尚、推計市場規模の金額は億の単位の下一桁が0か5のどちらに近いかを判断し、近いほうに当てはめて発表。上記の文面、金額などを番組、紙面、Web上などでの使用を希望するときは必ず日本記念日協会まで電話(0267-68-2465)で連絡をして許可を得てください。