マーケティング:「ハロウィン」の市場規模はなぜ拡大し続けているのか。

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日本記念日協会では「バレンタインデー」「ホワイトデー」「クリスマス」などの記念日とともに「ハロウィン」の市場規模の推計を毎年行っている。なぜなら「今後、ブレイクしそうな記念日」として「ハロウィン」「イースター」「セントパトリックデー」に注目してきたからで、その予想どうり「ハロウィン」の市場規模は毎年確実に増え続け、2014年には約1100億円と、天候の影響で大幅に縮小した「バレンタインデー」と肩を並べる勢いである。

ではなぜ「ハロウィン」がここまでマーケットを広げることが出来たのか。1997年に東京ディズニーランドで開催された「ディズニー・ハロウィーン」がきっかけとなって、日本でも「ハロウィン」のことが知られるようになるのだが、まだまだ一般に広く浸透しているとは言い難かった。しかし、「クリスマス」や「バレンタインデー」など欧米の記念日を巧みにアレンジして取り込んできた文化を持つ日本のこと、この特別な日の魅力を活かそうとする企業・団体は一年ごとに確実に増え、市場規模はふくらみ続ける。

2005年、「ディズニー・ハロウィーン」は9月12日から10月31日まで長期にわたって開催されたが、「ハロウィン」という新しい記念日イベントへの期待はテーマパークだけでなく、売り上げ減に悩むデパート業界、元気のなくなった商店街、さらには地域の活性化を目指す商工団体をも動かすことになる。さまざまなところで「ハロウィン」の話題が集まれば集まるほどメディアへの露出も増え、自分も参加してみたいと思う人が急増し、年中行事のようになっていく。

こどもから大人まで楽しめる多世代性。仮装という非日常性。パレードという同調性。パーティーという共感性。10月下旬という他に大きなイベントがない季節性。しかも「ハロウィン」にはシンボルとなる魔女やカボチャがあり、そのイメージカラーの黒やオレンジがある。なぜ10月31日なのかという理屈よりも、その日にはひとつのテーマでみんなで楽しもうという空気が優先されることで気軽にその輪の中に入りやすい。庭木にカボチャのランタンの飾り物を吊しただけでも気分は「ハロウィン」なのだから。

こうした要素がプラスに働いて「ハロウィン」の市場規模は拡大し続けてきた。そして、今まで「ハロウィン」とは縁がないと思われていた寿司業界、和食業界、和装業界までもが参入するなど、まだまだその可能性は尽きない。