マーケティング:酒類業界の記念日戦略「カンパイの日」を!
日本記念日協会ではさまざまな業界、業種のマーケティングを行っているが、最近、アルコール関係の業界からの問い合わせが多い。それはメーカーの出荷額では10年前には4兆円を超えていたが、今は3兆5000億円ほどと、酒類市場の長期低落傾向を脱するための戦略を記念日に求める人が多いからに他ならない。
ではなぜアルコール業界が記念日に注目するのか。それはアルコールは嗜好品で人が楽しむために味わうものだけにその環境や雰囲気がとても大切。記念日という特別な日はそのきっかけづくりに大いに役立ち、家庭で飲むだけでなく、レストラン、居酒屋、パーティーなど、飲酒のシーンを広げることにつながるからだ。
日本記念日協会に記念日登録申請してきたアルコールを製造する企業の広告代理店の担当者は「サントリーさんの『角ハイボールの日』が記念日協会さんに登録されてから、ハイボールブームが起きたのを覚えていますから」と言った。ハイボールという若者には新鮮なウィスキーの飲み方がヒットの主因だが、それ以降のアルコール関係の記念日の急増ぶりは業界からの熱い期待感のあらわれなのだろう。
そこで次の記念日を活用したアルコール類のヒットの秘訣は「カンパイ」を生活文化にすることだ。そのためには「取りあえずビール」のように「まずはカンパイ」用の「カンパイドリンク」を開発することがどの酒類にとっても重要な課題。そして、毎月1日や毎月25日を「カンパイの日」に制定して、カンパイブームを巻き起こすくらいの勢いが必要ではないだろうか。(写真は長野県の武重本家酒造の濁酒「十二六」(どぶろく)。アルコール度数4度と低く、さわやかな飲み口は「まずはカンパイ」に向いている)